みんな大好きシューマイの回ですよw
この回の五郎の言動はいちいち面白くて病み付きになることうけあい。
まず順を追ってみていくことにしよう。
五郎が出張中の新幹線の中で食べる弁当を選ぶところから話は始まる。
このちょっと前に滝川という人物から龍養軒のシウマイ弁当がオススメだと教えられていたにもかかわらず、五郎が買ったのはなぜかジェットボックスのシウマイ・・・
まぁ妥当なラインとしては前にいた2人の会話から興味がわいてのことだと思う。
何かああいう会話してたら人間欲しくなってくるじゃない?w
でも千円でおつりがくる発言はちょっと微妙。別にシウマイ弁当にしてもお茶入れて千円はしないし、弁当というフォームよりシューマイに重きを置いた上での発言なのかとも思ったが後に分かるようにそういうわけでもない。
五郎はこの時点ですでに「歯車が狂」い始めているのである。言い換えればジェットというおそらく初めて見たであろう人気商品に特に理由も無く惹かれているのである。




そして、場面は新幹線の中に戻る。
食べるタイミングを重要視しているところは本当に五郎らしいが、残念ながらあのビニールテープを引き抜いた時に彼の「食事」は終わってしまう。
溢れ出す蒸気、客席内に充満するシューマイのにおい。




モノを食べる時はね
誰にも邪魔されず
自由で なんというか
救われてなきゃあ
ダメなんだ            <第12話 東京都板橋区大山町のハンバーグ・ランチ>




誰にも邪魔はされてないけど自分の中に勝手に邪魔者をつくってしまったかのような気まずさ。
これじゃあ救われないよ;;
さらににおいを気にするがあまり食べるペースまで乱してしまう。
それ以前に「クサイだろうか・・・・・・ 不快だろうか」って気にしながら食べる飯はうまくないだろう、気分的に。
しかしシューマイ自体は美味しかったようである。問題なのはその次のセリフ。




「しかし・・・これはどこまでいってもシューマイだな」
一体シューマイに何を期待していたのだろう? 食べる直前にはこんなセリフもある。




「うーん こりゃああまりにもシューマイだな」
実はお前そんなにシューマイ食べたかったわけじゃないだろ?w 食後のセリフももちろん、




「それにしても口の中がシューマイだ・・・・・・」
いや、その気持ちはわからんでもないが、ここまでシューマイを強調した発言をされると「うまかった」の言葉が宙を浮いてしまうじゃないか。




俺の解釈としては蒸気があふれた時点である程度食欲を削がれてしまったんじゃないかと考える。
普通お腹すいてるときに食べ物のにおいを嗅ぐと食欲が出るけど、ジェットのあまりのショックからそのにおいにいいイメージをもてなかったために以上のような結果になってしまったのではないだろうか?
シウマイ弁当にしとけばよかったと後悔しているのは、おかずがいろいろ入ってたからでなく、干しアンズが入ってたからでもなく、蒸気が出ないからなのである。
でもまぁ、ジェットじゃない普通のシューマイを買うのならいろいろ入ってる弁当の方が魅力的なのは言うまでも無いわけで、結局のところ素直に滝山の言うことを聞いとけばよかったという結論には変わりないんだけどねw




気分が滅入ってる時に美味しいものを食べても、たとえその食べ物自体を美味しいと感じても必ずしもそれで自分が幸福感を味わえるかどうかは分からない。エビスヤでステーキを食べてもブラジリアのハヤシライスが頭にあったら気は晴れない(第14話)ということである。
自らが幸福感を感じて初めて満たされる食事という概念を、ただそのものが美味しいという事実だけでなく、外的要因や心理的要因をも含めてユーモラスに表現しきってるところにこのマンガのすごさがあると思う。
では、最後はお決まりのあれで締めましょうかw




「ジェットのせいで歯車がズレたか・・・・・・」